生活信条
一日一度は静かに坐って身と呼吸と心を調えましょう。
ー自らをととのえ、くらしをととのえるー
「静かに坐って身と呼吸と心を調える」というのは坐禅をすることであります。臨済宗、曹洞宗および黄檗宗の三宗を禅宗といいます。
これらの宗派は、坐禅を基本としているからであります。
仏教は、戒律(生活のきまり)禅定(静かに心を調える)智慧(事物の真相を明らかにする)の三つを修めることにあるといわれます。この三つは鼎の三足で、どれ一つ切り離すことはできません。それだけにどれか一つに徹すれば他の二つも自然にそなわってきます。禅宗では、このうち禅定に重点がおかれています。それには、次のようなわけがあります。
お釈迦さま悟りを開かれたのは、菩提樹下で坐禅三昧にお入りになり、十二月八日暁の明星を見て、真実の自己にめざめ、事物の真相をはっきり見きわめられたことによります。このように成道の証因が禅定であるところからであります。
近年のように世の中が忙がしく騒々しいと、心も乱されてしまいます。さわがしい中に静けさを得る工夫をしなければなりません。それには坐禅が最もよい方法なのであります。
自己を調えればひとりでに生活が調ってまいります。履物のぬぎ方一つでもキチンと揃えられ、すべてに無駄なく、あるべきように整理整頓されてきます。常に足もとをみつめて、どんな些細なことにも心をこめてことに成り切る。そこに禅宗信者の生活態度があります。そして、常に仏法と離れない生活を送ることが大切であります。