生活信条

生かされている自分を感謝し、報恩の行を積みましょう。

ーくらしのきまりと報恩行ー

日本国憲法第二十五条に「社会の各員が人間らしい生存を全うする権利」として、日本人である限り、誰もが一人のこらず「生きる権利」を保証されています。これは言葉をかえていえば、誰でも他から不当な侵害をうけることなく、生きることができるということであります。

私たちが「いま」「ここ」に生きているのは、自分の力によるものではなくして、父母を始め、自然、社会の恩恵によるものであります。仏教的にいえば、因縁の結集であり、他一切によって生かされているのであります。この一切によって在らしめられている自分は、また一切を在らしめている自分でもあります。同時に、今ここにこうして居ることは容易ならぬ因縁の結果で、少しでも条件がちがったら、こうはならなかったのであります。このように私たちはありとあらゆるもののご恩をいただいてこの世に存在しているのであります。

「恩」というと、いかにも古めかしいように思われがちですが、「恩」の字は「心」の上に「因」と書きます。ものごとの成り立つ原因を深く思うことであります。仏教流にいえば、因縁をよくかみしめること。そこに当然「有り難さ」がわかってきます。有り難さがわかれば感謝せずにはおれません。

感謝の心とは、私たちがご恩に報いてゆく生活であります。恩恵の結晶である自分に気づいて、自分本意の欲望だけに生きることではなく、少しでも人の喜ぶことをしたい、世間のお役に立ちたい、と願う心が大切であります。この報恩の行は特殊なことをするというのでなく、日々のつとめをそのままに、報恩感謝の心で行じてゆくことであります。そこに生きる悦びがあり、燃えて我身を生かす姿が生じてくるのであります。

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